シクラメンの高精度ゲノム解読に世界で初めて成功
花の進化の謎に迫り、新たな品種開発を加速
概要
かずさDNA研究所(白澤 健太室長)は、埼玉工業大学、九州大学、香川大学と共同で、シクラメンの育種やゲノム研究の基盤となる高精度な全ゲノムの解読を行い、4万個以上の遺伝子を特定しました。
シクラメンは多様な色や形の花をもち人気が高い観賞植物ですが、園芸品種はゲノムが大きく複雑なため、これまで育種や研究の基準となる高精度な「参照ゲノム」の整備が遅れていました。
本研究では、最新のゲノム解読・解析技術を駆使して、園芸品種のルーツであるCyclamen persicumのゲノムを高精度に解読することに初めて成功しました。ゲノムサイズは約14.8億塩基対で、網羅率は全ゲノム98.1%に達し、40,223個の遺伝子を特定しました。そして、この中にシクラメン特有の遺伝子群やサクラソウ科に共通する遺伝子群が含まれていることを明らかにし、植物の進化を理解するための手がかりを得ることができました。
今回の高品質なゲノム情報により、花の形や色、香り、塊茎の成長などに関わる遺伝子の解明が進むと期待されます。また、今回のゲノム情報と既存の研究データを統合することで遺伝子機能の解析や新品種開発が加速し、より美しく丈夫なシクラメンの効率的な育種につながることが期待されます。
研究者からひとこと
シクラメンは17世紀にはヨーロッパで栽培されており、19世紀に日本へ導入されました。現在では、日本を代表する鉢花のひとつとして全国各地で生産・観賞されています。このような長い栽培の歴史を持ち、花き産業においても重要なシクラメンのゲノム解読に携わることができたことを大変光栄に思います。今後は、このゲノム情報を活用して園芸品種が示す多様な形質の発現機構の解明に取り組んでいきたいと考えています。(水ノ江雄輝)
論文情報
論文名:A highly contiguous genome assembly of Cyclamen persicum to accelerate functional genomics and breeding
掲載誌:DNA Research
DOI:10.1093/dnares/dsag015
著者: Kenta Shirasawa, Yusuke Akita, Yuki Mizunoe, Takejiro Takamura
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