田中 史彦 教授、田中 良奈 准教授らの研究グループが、バナナ皮からトマトの鮮度を維持する新技術を開発

2026.10.30 Environment & Sustainability

廃棄されるバナナ皮から抽出した成分で鮮度保持コーティングを開発


ポイント

  • 廃棄されるバナナ皮からタンパク質、多糖類、脂質を効率的に抽出し、食品用コーティング材料として活用しました。
  • バナナ皮由来脂質を配合したアルギン酸コーティングが、ミニトマトの水分損失や軟化を抑え、鮮度を大幅に維持しました。
  • 廃棄物を高付加価値な食品保存材料へ再利用する新たなアップサイクル(※1)技術として期待されます。

概要

 世界では毎年大量のバナナ皮が廃棄されており、その有効活用が課題となっています。一方で、果実や野菜の収穫後劣化による食品ロスも深刻な社会問題となっています。
 九州大学大学院農学研究院の田中 史彦 教授、田中 良奈 准教授らの研究グループは、通常は廃棄されるバナナ皮からタンパク質、多糖類、脂質を抽出し、それぞれを天然高分子であるアルギン酸(※2)と組み合わせた食用コーティングを開発しました。
 その結果、特にバナナ皮由来脂質を含むコーティングは優れた水分バリア性を示し、ミニトマトの重量減少、呼吸速度、エチレン生成、軟化を抑制することで、市場価値を維持できる期間を20日以上まで延長することに成功しました。
 本研究は、農業副産物の高度利用と食品ロス削減を同時に実現する持続可能な食品保存技術として期待されます。
 本研究成果は「Food Bioscience」に2026年8月22日(土)(現地時間)に掲載されました。


図1 バナナ皮由来成分を利用した食用コーティングによるミニトマト鮮度保持の概念図

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バナナ皮から抽出したタンパク質・多糖類・脂質をアルギン酸コーティングへ組み込むことで、水分移動やガス交換を制御し、呼吸や成熟を緩やかにする。特に脂質を利用したコーティングは優れたバリア機能を示し、ミニトマトの鮮度保持期間を大幅に延長する。

研究者からひとこと

バナナ皮はこれまで廃棄物として扱われてきましたが、実際には食品保存に役立つ多くの有用成分を含んでいます。本研究では、それぞれの成分がどのような役割を担うかを明らかにし、特に脂質成分が高い鮮度保持効果を示すことを実証しました。食品ロス削減と資源循環の両立につながる技術として発展させたいと考えています。(田中史彦)


用語解説

(※1)アップサイクル(Upcycling)
これまで廃棄されていた副産物や廃棄物を、新たな付加価値を持つ製品や材料として再利用すること。本研究では、通常廃棄されるバナナ皮から機能性成分を抽出し、食品の鮮度保持に利用した。

(※2)アルギン酸(Sodium Alginate)
コンブやワカメなどの褐藻類から得られる天然多糖類。生分解性や安全性に優れ、食品用フィルムや食用コーティング材料として広く利用されている。


論文情報

掲載誌:Food Bioscience
タイトル:Fraction-specific regulation of barrier properties and postharvest physiology in alginate/cinnamaldehyde edible coatings incorporating banana peel waste-derived biomolecules for cherry tomato preservation
著者名:Jiao Zeng, Xirui Yan, Fanze Meng, Donghui Luo, Reshaka Kavindi Malawara Arachchige, Saki Ishiko, Fumina Tanaka, Fumihiko Tanaka
DOI:10.1016/j.fbio.2026.109756


お問合せ先

田中 史彦 教授
田中 良奈 准教授


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