謝 家暉 准教授らの国際共同研究グループ、代替PFAS「PFBS」が発生期の代謝と器官機能に影響する可能性を解明
ポイント
- PFOS・PFOAなど従来型PFAS(有機フッ素化合物)の規制が進む一方、代替PFASの安全性情報は十分ではありません。日本では2025年、PFBSが水環境の「要調査項目」に追加されました。
- ゼブラフィッシュ胚をPFBSに曝露すると、体内に蓄積し、糖・脂質代謝が乱れました。続いて酸化ストレスや細胞死が増え、心臓機能、顔面形成、神経発生、視覚機能にも影響がみられました。
- 短鎖型で蓄積しにくいとされる代替PFASでも、発生期の生物に影響を及ぼす可能性があります。本研究は、新しいPFASの安全性評価に役立つ基礎データです。
概要
PFASは、幅広い産業用途で使用されてきました。近年、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)への規制が進む一方、代替として使用される新しいPFASについては、その安全性に不明な点が残されています。
今回、九州大学大学院農学研究院の謝 家暉准教授を中心とする国際共同研究グループは、短鎖PFASの一種であるPFBS(ペルフルオロブタンスルホン酸)について、ゼブラフィッシュを用いて発生期への影響を解析しました。その結果、PFBSが代謝のバランスを乱し、細胞ストレスを引き起こすことで、複数の器官の発生や機能に影響する可能性を明らかにしました。
研究では、PFBS曝露によって糖や脂質の代謝異常、酸化ストレス、細胞死が増えるとともに、心臓機能、顔面形成、神経発生、視覚機能にも変化が認められました。遺伝子発現解析と生理・発生学的解析を組み合わせることで、PFBSによる発生毒性を多面的に評価しました。
本研究グループはこれまで、従来型PFASであるPFOSによる脂質代謝異常や脂肪肝との関連を報告し、さらにPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)についても代謝異常や酸化ストレスを介した発生影響を明らかにしてきました。今回のPFBS研究は、こうした一連の研究を新しい代替PFASへと発展させた成果であり、短鎖PFASについても代謝の乱れを原因とする生物影響に注意する必要性を示しています。本研究成果は、国際学術誌「Journal of Hazardous Materials Advances」に2026年9月28日(月)(現地時間)に掲載されました。
研究者からひとこと
PFOSやPFOAの規制が進む一方、代替PFASの安全性データは十分ではありません。『代替だから安全』と仮定せず、一つずつ科学的に評価することが重要です。
私たちの研究グループは、一般市民、基礎研究者など、さまざまな関係者からの連携や寄付を歓迎しています。私たちの理念に賛同し、PFASの基礎研究に貢献したいとお考えの方は、ぜひご連絡ください。
(謝 家暉)
論文情報
掲載誌:Journal of Hazardous Materials Advances
タイトル:Perfluorobutane sulfonate induces metabolic stress leading to cellular stress and developmental defects in zebrafish embryos
著者名:Zulvikar Syambani ULHAQ, Delbert Almerick T BONCAN, Da-Wei LIU, Chen HSU, Jingru QIN, Jen‐Kun CHEN, May-Su YOU, Ting Fung CHAN, Yukiko OGINO, Yun-Jin JIANG, Keng Po LAI, William Ka Fai TSE
DOI:10.1016/j.hazadv.2026.101596
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お問合せ先
謝 家暉 准教授
Mail:kftse★agr.kyushu-u.ac.jp
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