安武 大輔 准教授らの研究グループが、作物の水耕栽培下における根の成長を非破壊で連続モニタリングする世界初の技術を開発しました。
〜根の成長を精密に把握・制御するスマート農業の実現に貢献!〜
ポイント
- 実験室内ではない実栽培条件下での作物の根を対象とした世界で初めてのモニタリング技術
- 根のスペクトル画像※1と機械学習※2によって、根系全体の乾物重分布を可視化
- 長期の栽培期間にわたる根の成長(乾物重)の時系列変化を評価可能
概要
データ駆動型の精密農業・スマート農業の実現において、作物生育状態を把握することが必要です。そのためのモニタリング技術として、葉、茎、果実などの目に見える部位を対象にした技術はありますが、根を対象にした技術は実験室レベルに留まっていました。
九州大学大学院生物資源環境科学府博士後期課程のJin Ziyi氏、九州大学大学院農学研究院の安武 大輔 准教授をはじめとする、高知大学IoP共創センター、山口大学大学院創成科学研究科の研究者からなるグループは、水耕栽培装置の一部を透明資材にして根系全体を観察し、そのスペクトル画像※1に基づく機械学習モデル※2によって根の乾物重を推定する技術を開発しました。この技術によって、実際の生産条件下での葉菜類(ホウレンソウ)について、定植直後から収穫までの期間にわたる根の成長を高精度でモニタリングすることを実現しました。
作物の地上部(葉、茎、果実など)だけでなく、根の成長も精密に把握・制御するスマート農業の実現に応用されることが期待されます。
本研究成果は、Springer Nature社の学術雑誌「Plant Methods」に2026年3月10日(火)にオンライン掲載されました。
研究者(研究グループ)からひとこと
植物の根は"Hidden half(隠された半分)"とも称されるアプローチが難しい部位です。そのため、根のモニタリング研究のほとんどは実験室レベルに留まり、実際の生産条件とは大きくかけ離れていました。本研究は水耕栽培という条件下ではありますが、実生産環境における根のモニタリングを実現した点で、この分野のブレークスルーになり得ると考えています。
(安武大輔)
スペクトルイメージング技術の根系への応用は、その観測の難しさが大きな障壁となってきました。本研究は、生育期間にわたる根の成長のモニタリングを実現しただけでなく、これまで得ることが難しかった根のスペクトル情報を取得した点においても、今後の根の表現型解析に新たな知見をもたらすものと考えています。
(Ziyi Jin)
用語解説
※1 スペクトル画像
物体から反射される光を、多数の波長帯に分けて記録する画像。通常のカラー写真が赤・緑・青の3色の情報しか持たないのに対し、スペクトル画像は数百の波長帯の情報を持つため、人間の目では見えない物体の特性を識別できる。
※2 機械学習
コンピュータが大量のデータからパターンや規則性を自動的に学習し、予測や判断を行う技術。
論文情報
掲載誌:Plant Methods
タイトル:Non-destructive monitoring of root biomass in hydroponically grown leafy vegetables: comparison between machine learning-based RGB and hyperspectral imaging
著者名:Ziyi Jin, Daisuke Yasutake, Tadashige Iwao, Yuki Sago, Gaku Yokoyama, Shigehiro Kubota, Tomoyoshi Hirota
DOI:10.1186/s13007-026-01515-8
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