教員紹介

教授

北岡 卓也

主な研究

「天然多糖のナノ・バイオアーキテクトニクス」
「天然多糖のメディカル・コスメティクス研究」
「天然多糖によるXeno-free再生医療材料の開発」
「天然多糖による歯髄幹細胞培養と再生歯科治療」
「天然多糖を創薬モダリティとするアジュバントの開発」
「海洋生分解性木質模倣真球微粒子の開発と化粧品応用」

プロフィール

活動概要

樹木細胞壁の骨格物質であるセルロースをはじめとする構造多糖類は、単なる高分子ではなく、生合成の過程で精緻に階層構築された固有のナノ構造を有しており、分子配列や糖鎖界面の規則性には自然の美しさを感じます。これらは、生物の生命活動にともなってボトムアップ型に集積された生き物の“個性”であり、どんなに科学が発展しても人工合成することはおそらく不可能でしょう。自然界で普遍的にみられる「一つ一つは単純な分子を規則的に並べることで得られる稀有なナノ構造」は、新規マテリアルを創発するための舞台としてとても魅力的です。私は、巨大な樹木を支える極細の繊維である“セルロースナノファイバー”に魅せられて、その「ナノ構造」が誘導する「未知機能」の探索を、バイオメディカル・コスメ分野で研究しています。

(1)動物由来成分“不含”の再生医療用バイオマテリアルの開発
私たちの体を構成する細胞の周辺は、コラーゲンなどの線維状物質や規則的構造の多糖類で充填されています。この生体内の細胞環境を樹木由来成分で再現することで、Xeno-free(ゼノフリー:他動物種由来成分を含まないので、免疫拒絶や感染症リスクがない)再生医療に有用な幹細胞の制御培養に挑戦しています。

(2)未知の感染症ワクチンの効き目を高めるアジュバントの開発
新型コロナウイルス感染症対策でも活躍したワクチンですが、ヒトの免疫システムを使っているので感受性が課題です。天然多糖ナノファイバーを乳化剤とする新しいタイプのエマルションが、ヒトの免疫を大幅に活性化させることを発見し、アジュバント(免疫増強剤)としての機能開拓に挑戦しています。

(3)海洋生分解性木質模倣真球微粒子の開発と化粧品応用
マイクロプラスチックによる海洋汚染問題を解決するためには、素材の海洋生分解性が極めて重要です。植物は3.8億年前から海洋微生物により生分解されている安心・安全な素材です。そこで、樹木の微細構造を模倣した真球微粒子を化粧品添加剤として使うことで、海洋で生分解され、さらには地球温暖化の原因である二酸化炭素を海に固定できる新素材の開発を通じて、“海の森プロジェクト”を進めています。

ひとこと

自然に学ぶ材料科学は、環境・生態系の保全と人間社会の持続的発展の双方を可能にします。森の恵みを生かす医薬・コスメ研究など、従来の農学の枠に収まらない、新しい農学を探究しています。異分野融合の最先端の舞台にぜひ来てください。みなさんの自由な発想で新しい世界を切り拓きましょう。

担当科目

学部

基礎生物有機化学II
Biomaterial Science
木質多糖化学
生体分子化学
基礎有機化学実験
基礎計測学実験
樹木化学実験
生物材料機能学実験
科学英語
卒業研究

大学院

○修士課程
生物材料化学
サスティナブル資源科学特別研究第一・第二
サスティナブル資源科学プロジェクト演習
サスティナブル資源科学演習第一・第二
サスティナブル資源科学ティーチング演習
演示技法I・ II
国際演示技法
○博士後期課程
サスティナブル資源科学特別講究
サスティナブル資源科学特別演習
サスティナブル資源科学特別実験
演示技法I・II
国際演示技法
プロジェクト演習