【トピックス】矢部 光保 名誉教授が参画する取組が、地球環境大賞「農林水産大臣賞」を受賞

2026.04.22 トピックス
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授賞式 矢部 光保 名誉教授(前列右から3番目)

地球環境大賞
地球環境大賞は1992年(平成4年)「産業の発展と地球環境との共生」を目指して創設されました。
地球温暖化防止や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に取り組み、成果を上げている企業・団体などを表彰しています。

受賞の内容は『築上町の「挑戦する農業」 ~資源循環型農業に液肥で挑んで32年~』です。
福岡県築上町、築上町液肥利用者協議会、国立大学法人九州大学大学院農学研究院、三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社が共同で受賞しました。


受賞理由
福岡県築上町では、1994年から年間約13,000トンのし尿および浄化槽汚泥を高温好気性発酵により処理し、液肥として製造・活用してきました。これらの液肥は、200ha以上の農地において主に米・麦栽培に利用されてきましたが、微細な固形物残渣を含むため、点滴灌水などの設備を用いる施設園芸では利用が困難でした。
この課題に対し、矢部名誉教授が開発した濃縮バイオ液肥技術を活用し、2020年には全国初となる濃縮バイオ液肥製造施設が整備されました。本技術により、固形分残渣の除去と同時に肥料成分を約20倍に濃縮した液肥の製造が可能となり、イチゴ栽培をはじめとする施設園芸分野での利用が実現しました。さらに、2024年からは濃縮液肥の商業販売も開始されています。
従来、有機性廃棄物由来の液肥は農地への散布利用が中心でしたが、本技術により施設園芸や植物工場など幅広い栽培形態での利用が可能となりました。これにより、有機資源の高度利用と循環型社会の構築に大きく貢献する先進的な取り組みとして評価され、今回の受賞に至りました。


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矢部 名誉教授

矢部名誉教授からのコメント
日本は化学肥料原料の多くを海外に依存しており、国際情勢の影響を受けやすい構造にあります。このような状況の中で、有機性廃棄物由来の液肥を活用し、国内で資源を循環させていくことは、今後の農業において重要な課題の一つと考えています。
有機性廃棄物の循環利用としては堆肥化が一般的ですが、メタン発酵を活用することで、エネルギー回収と液肥利用を同時に実現することができます。さらに、濃縮液肥技術を組み合わせることで、消化液の利用可能性が広がり、施設園芸など新たな分野への展開も期待されます。
本技術が、有機性廃棄物の有効利用を一層進めるとともに、持続可能な農業の実現に寄与することを願っております。今回の受賞を励みに、今後も着実に社会実装を進めてまいります。
また、九州大学発スタートアップとして、2026年4月1日にBiosty株式会社を設立いたしました。今後は本技術の普及を通じて、有機資源の循環利用に貢献していきたいと考えております。


お問い合わせ先または詳細

  • 矢部 光保 名誉教授
    Mail:yabe★agr.kyushu-u.ac.jp
    ※メールアドレスの★を@に変更してください。
  • 地球環境大賞サイト「第34回地球環境大賞 受賞者