世界初!穴井教授らの研究グループがダイズ油脂に含まれるフラン酸合成に関与する遺伝⼦を発⾒しました。
2023.12.08
Environment & Sustainability
ポイント
- ダイズ油脂中のフラン酸は光照射によって分解され、明所臭と呼ばれる不快臭を発⽣する
- フラン酸が減少したダイズ突然変異体を⾒出し、フラン酸の合成に関わる遺伝⼦を解明した
- 遺伝的にフラン酸を合成せず、不快臭の発⽣が少ないダイズ品種の開発が可能となる
概要
従来のダイズ油脂に光が当たると、油脂中に含まれるフラン酸が分解し、3-メチル-2,4-ノナンジオン(3-MND)が⽣成され、明所臭と呼ばれる枯れ草様の不快臭が発⽣することが問題となっており、これを解決するための新たな技術開発が待たれていました。
そこで、九州⼤学⼤学院農学研究院の⽳井豊昭教授と佐賀⼤学農学部の渡邊啓史准教授、J-オイルミルズらの研究グループは、油脂中にフラン酸をほとんど含まないダイズ突然変異体を⾒出し、これを⽤いて、油脂中のフラン酸合成に関わる遺伝⼦を特定することに世界で初めて成功しました。
本研究で得られたフラン酸含量を減少させる突然変異遺伝⼦は明所臭の発⽣が少ないダイズの開発に利⽤でき、油糧作物としての価値を⾼めたダイズ新品種の育成が可能となります。その結果、フラン酸含量の低いダイズ油脂は、油脂のみならずマヨネーズやドレッシングといったダイズ油脂を使⽤する製品の品質改善にも役⽴つことが期待されます。
また、⽳井教授らのグループでは、以前に油脂中のオレイン酸含量を⾼めたダイズ品種の育成にも成功しており、本研究の成果とこれを組み合わせることで、⾼オレイン酸かつフラン酸をほとんど含まない油脂を⽣産するダイズ新品種の育成が可能となり、ダイズ油脂で課題とされていた酸化安定性の増強や油脂の劣化に伴う不快臭の発⽣の軽減が期待されています。
本研究成果は、2023年11⽉29⽇14時(⽇本時間)に、英国の科学雑誌「The Plant Journal」誌でオンライン公開されました。
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