研究室紹介

微生物遺伝子資源学

無限の可能性を秘める微生物の遺伝子機能

微生物遺伝子資源の探索と評価、保存と利用、遺伝子産物の高機能化とそれらの応用開発、極限環境微生物の生態と環境応答に関わるゲノム機能の解明、極限環境ウイルスの単離とゲノム構造解析およびファージーセラピー、極限環境微生物由来酵素の構造・機能解析とその産業応用。

教授: 土居 克実
准教授:
助教: 藤野 泰寛

研究テーマ

(1)遺伝子資源としての極限環境ウイルスの探索と特性解析
(2)極限環境ウイルス由来溶菌酵素を用いたファージーセラピー
(3)ファージ溶菌酵素holinによるガン細胞のアポトーシス誘導
(4)植物病原菌ファージを用いた生物防除法の開発
(5)地熱環境における好熱性細菌の生物鉱化現象の解明
(6)Thermus属細菌の環境応答を利用した発現システムの開発
(7)産業利用に有用な乳酸菌、放線菌遺伝子資源の開拓
(8)乳酸菌のD-アミノ酸生産機構の解明とD-アミノ酸の生理的役割の解明

一般に、単細胞である微生物はµmサイズの細胞、nmサイズの器官を持つため、私たちの目には見えませんが、その種類・数は無限大に近いと考えられます。人類は太古より微生物の力を借りて、酒、味噌・醤油、チーズ・ヨーグルトなど様々な食品をはじめ、生活のあらゆる面に利用してきました。バイオテクノロジーが発展してきた現代では、微生物細胞全体を工場として使うだけでなく、酵素などの細胞のパーツや代謝産物を改変し、大量生産して利用できます。その利用範囲も、食品だけでなく、医療、製薬、洗剤やプラスチック類などのコモディティー製品、バイオレメディエーションなどの環境浄化、バイオ燃料や微生物電池などエネルギー生産、レアメタルなどの資源回収をはじめ、私たちの生活のありとあらゆる所に広がっています。近年、様々な環境から多種多様な微生物が遺伝子資源として分離され、それらのゲノム解析が急速に進行しています。その膨大なゲノム情報を活用した遺伝子と遺伝子産物であるタンパク質、酵素の機能と構造解析、産業応用などにおける研究・開発の発展は目覚しく、比較ゲノミクス、プロテオーム解析、システムバイオロジー、ミニマムゲノムファクトリーなどの新しい研究分野がポストゲノム研究として急速に拡大しつつあります。私たち微生物遺伝子資源学研究室では、微生物を対象として、その特徴的な生命現象を原子、分子から細胞レベルまで統合的に解析し、無限の可能性を秘める微生物の遺伝子機能の開発と高度利用による生物生産の飛躍的向上を目指し、一貫した教育および研究を行っています。特に、九州地方に多数ある温泉や牧草地などあらゆる環境から、細菌、アーキア、ファージ・ウイルスなどの微生物を探索・培養し、その特性とゲノム・タンパク質構造を解析し、有用遺伝子資源として私たちの生活を豊かにする微生物機能や産物を創出することを目的とした研究を進めています。

研究キーワード