研究室紹介
食糧化学
食品の機能性研究の最前線へ
本研究では、食から生体調節機能をつなぐ「食機能実行分子」とその分子メカニズムを解明する。食品因子の精密な挙動を可視化するフードケミカルバイオロジーおよび分子疫学的アプローチに基づいて、生体が食品因子を特異的に捉える一連の「感知分子」を見出し、食機能実行に関わる分子実体を明らかにする。感知分子の挙動に着目した食品因子間の機能的相互作用「機能性フードペアリング」の解明とその応用を試み、機能性食品ならびに医薬品開発への応用展開を目指す。
研究テーマ
(1)機能性食品成分の生体内標的分子の同定とその機能解析
(2)食機能実行分子としての機能性RNA、植物マイクロRNA、メタボライトの解析
(3)緑茶カテキン受容体を介したカテキンの機能性発現とシグナリングの統合解析
(4)難吸収性食品因子の生体感知機構の解明
(5)生活習慣病予防に資する食品成分の機能性評価のための分子的基盤の確立
(6)機能性食品素材の抗メタボリックシンドローム機能探索研究
(7)機能性フードペアリングに基づいた新機能性食品の開発
食品の機能は一次機能、二次機能および三次機能に分けることができます。一次機能とは、食品の栄養素が生体に対して果たす機能のことです。二次機能とは、食品成分の特異構造が感覚に訴える機能のことです。三次機能とは、食品による免疫機能の増強、肥満防止、老化抑制などの機能を指し、体調調節機能とも言われます。当研究室では、食品の体調調節機能を活用するために、食品に含まれる機能性成分(特に、非栄養素である食品因子)を探索し、その作用機構を解明すること、および機能性食品を構築することを目的として研究を行っています。これらの目的を遂行するために、本研究室では、動物細胞の培養および実験動物などを使用するとともに、ヒト介入試験(リキッドバイオプシー解析)の情報を活用することで、食品因子の機能性の確認およびその作用機構の解明を、生化学的、遺伝子工学的、分子疫学的、メタボロミクス的手法を駆使して行っています。本研究室では、機能性を有する食品因子として、脂溶性成分、抗酸化成分、ポリフェノール、植物マイクロRNAなどをターゲットとして研究を行っており、メタボリックシンドロームの予防、糖尿病予防、免疫調節作用(抗アレルギー作用)、抗がん作用、ロコモティブシンドローム予防、認知機能の改善作用などの解明を行っています。また、他の食品についても新規の生体調節因子を探索するために研究を行っています。さらに、細胞内におけるこれらの食品の作用機構の解明およびその制御法についても研究しています。