研究室紹介

植物代謝制御学

針葉樹の光合成制御機構

針葉樹は一般に環境ストレスに強い。
針葉樹は北半球の中高緯度地方の気象条件が厳しい地域に優占します。針葉樹は低温や乾燥等に適応するための様々な仕組みを備えています。中でも光合成の制御は重要です。制御なしでは環境ストレス下で光合成は光の害を被ります。
当研究室では針葉樹の環境ストレス耐性を光合成制御の観点から研究しています。

研究テーマ

（１）針葉樹の環境ストレス耐性機構
（２）メーラー反応の制御
（３）光化学系Ⅰサイクリック電子伝達反応の制御
（４）光合成の機能解析法の開発

針葉樹（裸子植物主要構成要素）の光合成電子伝達反応はメーラー反応の能力に特徴があります。光合成電子伝達反応において水の分解に由来する電子は光化学系Ⅱから光化学系Ⅰ（系Ⅰ）へ流れます。電子受容体のNADP＋が不足する条件下（乾燥や低温）では系Ⅰの下流側で酸素が還元されます（メーラー反応）。針葉樹は被子植物よりもメーラー反応の能力が約10倍高いです。メーラー反応によって酸素に電子が流れることで電子伝達鎖の過剰な還元は起きず、針葉樹は光合成の光阻害を回避できます。針葉樹のメーラー反応が大きいのは、競合する反応（系Ⅰサイクリック電子伝達反応）が小さいためです。

研究キーワード