【トピックス】演習林の技術職員2名が第27回「森林管理技術賞」を受賞しました!

2025.10.24 トピックス

全国大学演習林協議会(加盟27大学)において、九州大学農学部附属演習林の山内 康平 技術専門職員と緒方 健人 技術専門職員が、それぞれ「技術貢献賞」「学術貢献賞」を受賞しました。なお、授賞式は2025年9月25日、宇都宮市で行われました。


全国大学演習林協議会

全国大学演習林協議会は、1951年に設立され、北海道から沖縄まで全国の国公私立27大学が加盟しています。大学演習林は亜寒帯から亜熱帯にかけて多様な森林を保有しており、各大学演習林のフィールドの特徴を活かした様々な教育研究を展開しています。最近では、個々の大学の枠を越えて学生の利用が進められるような取り組みである、「公開森林実習」や文部科学省の「教育関係全国共同利用拠点」としての活動にも取り組んでいます。全国演習林協議会は森林管理技術賞表彰委員会を定め、大学演習林等における教育・研究への貢献もしくは演習林等の維持 管理に関する貢献に対する森林管理技術賞の選考を行っています。


受賞の選定基準

山内 技術専門職員「技術貢献賞」
森林データベースの構築と活用を通じて、教育・研究・管理のデジタル化を推進。

緒方 技術専門職員「学術貢献賞」
長期モニタリングデータの整備により、森林の生物多様性や炭素吸収に関する研究の基盤を確立。


研究の概要

山内 技術専門職員
「九州大学演習林の自然史情報の収集とデータベース構築」

緒方 技術専門職員
「長期モニタリングに基づく学術基盤情報の整備による学術的貢献」


期待される効果

山内 技術専門職員
山内氏が取り組んできた自然史情報(長期観察から自然の動植物の営み・歴史を垣間見る基礎データ)とデータベース構築により、演習林利用者が森林の情報を簡単に活用できる環境が整備されました。それにより、学生や研究者、多くの人々に新たな教育・研究利用の機会を提供できるようになりました(例えば、全学部学生を対象とした新しいPBL型実習(学生自らが問いをたて、解決する実習)の導入)。また、九大演習林において10年毎に編纂される「演習林森林管理計画」での林地区分に利用される等(データ駆動型の森林管理)、100年以上続く演習林のデジタル化、管理運営に多大な貢献をしています。

緒方 技術専門職員
緒方氏によって樹木や気象の長期モニタリングデータ(最長では、80年の気象データ)の取りまとめが行われたことにより、種の多様性評価や信頼性の高い森林現存量(炭素蓄積量)・成長量(炭素吸収量)の推定がなされた。ネイチャーポジティブやカーボンニュートラルという世界的な目標を達成するうえで、森林の生物多様性や炭素隔離機能はどれくらいあるのか、またそれが気候変動によってどのように変化するのか、という疑問に答えていくことが重要ですが、それらの疑問に答えるためには、このような地道な調査活動の成果が必要不可欠です。また、これら九大演習林発の信頼性の高い長期データが、演習林内外の研究(含む、国際的なネットワーク型研究)の基盤情報となり、新しい研究を続々と生み出しています。


受賞者からひとこと
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受賞式の様子
左から山内 技術専門職員、緒方 技術専門職員

山内 技術専門職員
この度は栄誉ある賞を頂き、大変光栄に思います。日々の作業の積み重ねを評価していただき、心より感謝申し上げます。広大な面積を長期間にわたり管理する演習林の仕事は、一人では成し得ません。共に働く技術職員をはじめ教職員の皆様、そして日々支えてくれる家族に、この場を借りて感謝を申し上げます。これからも演習林の魅力を高められるよう、日々の作業に励んでまいります。

緒方 技術専門職員
この度は学術貢献賞という身に余る賞をいただき、大変光栄に存じます。今回評価をいただきました長期モニタリングに基づく学術基盤情報の整備は、私一人では成し得ることができませんでした。これまで観測を実施してこられた多くの演習林の先輩方、ご指導いただきました先生方に心より感謝申し上げます。今後も演習林の業務を通して 研究・教育に貢献していきたいと思っております。


お問い合わせ先または詳細

演習林技術室
TEL: 092-948-3102または3103
kasuya★forest.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの★を@に変更してください。

全国大学演習林協議会ウェブサイト
九州大学農学部附属演習林ウェブサイト