松山倫也特任教授が、2024年度日本農学賞等を受賞されました!

2024.04.22 トピックス
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2024年度日本農学賞 松山倫也特任教授(左)
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第61回読売農学賞 松山倫也特任教授(左)

松山特任教授が2024年度日本農学賞及び第61回読売農学賞を受賞しました。
受賞対象となった研究業績は「海産有用魚類の比較生殖生理学-飼育実験系の構築とその応用-」です。


日本農学賞及び読売農学賞
「日本農学賞」は日本の農学研究者間における最高の栄誉とされるもので、「日本農学会」の前身である「農学会」による「農学賞」(農学賞牌)として大正14年から始まり、長い歴史を紡いでいます。また、「読売農学賞」は読売新聞社が農学分野の優れた研究を顕彰するものです。


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図1.マサバ脳におけるGnRHニューロンのKissによる制御
図2. 肝臓で作られるLepによる脳下垂体のFSH細胞の制御
図3.アニサキスのいない完全養殖"唐津Qサバ"

研究の概要
有用な海産魚を使った飼育実験系を構築し、魚類の生殖を制御する脳-脳下垂体-生殖腺を結ぶ生殖内分泌軸(BPG-axis)の仕組みの理解に格段の進歩をもたらしました。魚種毎の共通点と相違点を丁寧に洗い出すことにより、良質な受精卵を得るためのマニュアルを作成し、ブリやトラフグ、マサバの完全養殖につなげるなど、水産業の発展に貢献しました。また、小型浮魚類(サバ、アジ、イワシ類)の資源量を決める稚魚の加入過程を実験的に検証する"実験資源学"の必要性を提唱しました。
近年は、狙った遺伝子の働きを改変できるゲノム編集技術を活用した育種にも力を注いでいます。


期待する効果
他の脊椎動物に比べ、種数が極めて多く繁殖様式も多様な魚類では、メダカ等の小型モデル種やサケ科等で得られた基礎知見が水産上の有用種に適用できるとは限りません。そこで、海産有用種を対象とした、生活史におけるすべての発育段階の個体から、目的とする細胞、組織等を確実に採取・解析できるような飼育実験系を構築しました。この実験プラットフォームを活用することで、比較生殖生理学的理解の伸展はもとより、有用種の水産増養殖や水産資源管理が直面する重要課題の解決が進み、今後の応用研究や社会実装の一層の展開が期待されます。


ひとこと
水産を含む農学の分野は、基礎研究はもとより、それに立脚した応用研究も求められる学問領域です。現在および将来の社会的課題は何か、を常に頭の片隅に置き、他の追随できない独自の研究スタイルを構築できれば、その後の研究生活は(苦労も多いが)虎に翼です。ワクワク感、手ごたえ感(+ストレス)満載の研究生活を若い人たちに是非体験してもらいたいと思っています。


お問合せ先または詳細
松山 倫也特任教授 研究者情報
アクアバイオリソース創出センター
日本農学会サイト「2024年度受賞者」